物心ついた頃から、時々右肩をポンと手のひらでたたかれることがありました。
確実にポンとされたのに振り返っても誰もおらず、
近くにいた友達や家族に
「今、肩たたいた?」と聞いても、
「なんのこと?」と言われるばかりでした。
たまにしかないこと、ポンとたたかれるだけであとは何も起こらないことから
あまり気にしていなかったのですが、中学卒業を控えたある日のことそれは起こりました。
夕方、私はひとり自分の部屋でテレビを見ていました。
ちょっと外が暗くなってきて、電気をつけようかなどうしようかな、という時間帯です。
突然右肩をガシっと強い力で掴まれました。
びっくりした私はとっさに右肩をおさえて後ろを振り向きましたが、
背後には自室の壁しかありません。
気のせいと思うにはあまりにもリアルな感触で、痛みもはっきりと感じました。
とてつもない恐怖を感じ、急いで布団をかぶり電気をつけ、
テレビの音量を上げて泣きそうになりながらひたすら親の帰りを待ちました。
おそらく1、2時間後には親は帰ってきたのですが、
体感的には途方もなく長い時間待っていたように感じました。
様子のおかしい私を見て、親はすぐになにかあったのだと察したようでした。
私は正直にあったことを話しました。
話を聞いてしばらく考えたあと、「明日は休みましょう」とだけ言われ、
その日は久しぶりに親と一緒の布団で寝ることになりました。
翌朝、朝食を食べ終わったところに出かける準備をするよう言われ、
車で出かけることになりました。
1時間程車に揺られ、着いたのは町の外れにある神社でした。
出てきた神主さんに案内されたのはおそらくその神社の本殿だったと思います。
本殿に入り、正座をしたまでは覚えているのですが、
なぜかそこからの記憶がすっぽりと抜け落ちています。
気付けば自宅の居間のソファに座っていました。
本殿で一体自分の身に何が起こっていたのか気にはなりましたが、
なんだか聞いてはいけないような気がしました。
ただ、それ以降は肩を掴まれることはもちろん、
ポンとたたかれることもなくなったので、きちんと祓ってくれたのかなと思っています。