日本版サムの息子法は必要?〜へずまりゅう氏の昨今の報道をうけて〜
山口県ホームページにへずまりゅう氏が登場
7月11日に愛知県警に窃盗容疑で逮捕された原田将大容疑者が、
今度は山口県のホームページにユーチューバー『へずまりゅう』として
掲載されました。
山口県の行為にも以下の2つの点で疑問はありますが、
- 注目を浴びる目的で迷惑行為を繰り返しているユーチューバーの売名行為に公共団体が関与すること
- YouTuberと名乗っているとは言え、素人同然の一般人を公共団体が晒し上げること
このような行為を繰り返す事で、金銭を稼ぐ事が許されると
同じような事をする人が出てこないか心配です。
サムの息子法とは?
迷惑行為自体は罪に問われるものの、
その結果で知名度をあげ、お金を稼ぐ行為を防ぐ事は出来ないのでしょうか?
アメリカ合衆国ニューヨーク州では、1977年にサムの息子法(Son of Sam law)が、制定されました。
この法律は、犯罪活動の結果として直接取得した金銭を押収することを意図しています。犯罪者が自らの事件を商業的に利用して得た金銭を奪うことにより、犯罪の収益性を除去するため、また、犯罪者が自分の罪の悪評を活用できないように作られています。
このような法律が日本でもあれば、同様の行動を一定抑止できるのではないでしょうか?では、日本ではなぜないのでしょうか?
日本での過去の議論
日本でも2015年にこの法律が注目される機会がありました。
酒鬼薔薇事件の加害者、通称「少年A」の手記『絶歌』が発売されたのです。
『絶歌』は初版10万部、累計発行部数25万部となったようです。
今回よりも、犯罪の凶悪さも、犯罪によって得た収益も桁が違い、
サムの息子法の必要性が議論されました。
国会でも『日本版「サムの息子法」制定に関する質問主意書』が出されています。
しかし、現在、日本ではそのような法律はありません。
日本で導入する場合の課題点
日本政府は「憲法の保障する表現の自由等の観点から、慎重な検討が必要」と
しているようです。
犯罪者が事件について記述・出版することは、表現の自由の観点から制限できないこと、そして、その収益を全額没収する事は財産権の侵害になる等が問題になるようです。
アメリカにおいても、同様に表現の自由の観点から、一部が違憲とされ、改正が行われています。
日本でも、十分な議論を尽くし、問題とならない範囲で、
このような行為を抑止する法律の整備を今一度、検討してもらいたいものです。