ただのホラームービーではない：リング0 バースデイ（２０００年）
リング0 バースデイ（２０００年）
基本情報
配給：東宝
監督：鶴田法男
映画の概要
世界中を恐怖に陥れた、ジャパニーズホラーの金字塔「リング」シリーズ。
その恐怖と呪いの根源である「山村貞子」の誕生の物語。
舞台は30年前の東京、ある小さな劇団。公演を控えた彼らに起こった小さな異変、
それらはやがてさらなる恐怖と悲劇へと繋がっていく。
映画の感想
ジャパニーズホラーの最高峰であり、ホラーブームの火付け役
「リング」シリーズのひとつ。
貞子誕生の物語。
リングシリーズはたくさんあるが、私はこの「リング0 バースデイ」が
一番好きである。
なぜならホラームービーでありながら、そこまでホラー要素が強すぎないからだ。
（もちろん、怖い部分は怖い）
まず、とにかく仲間由紀恵の美しさが際立っている。
撮影当時は二十歳頃。
白い肌膚とみどりの黒髪、品のある佇まい。
そして憂いを帯びて儚げな雰囲気が、劇中の恐怖を、そして貞子の悲劇をより
美しく際立たせている。
余談だが、どんな悲劇も登場するのが美女でなければ
「コメディー」になってしまう。
次に世界中をあれだけ恐怖に陥れた貞子が、
実はごくごく普通の少女だったことに驚かされる。
「タラレバ」の話になってしまうが、もし運命が少しでも違っていたなら、
女優を夢みながら同じ劇団の恋人と心を通わせ、
ささやかながらも温かい日々を送ることができていたのではないか、
あんな暗い井戸の底で何十年と閉じ込められ、人を呪うことなどなく…
と考えてしまう。
ストーリーを知っていながらも考えてしまう。
それも何度も。
それくらい本当に残念で、貞子に感情移入してしまうのだ。
最後にこの映画の面白い点は、
ただのホラー作品の枠に収まらないことのように思う。
もちろんホラーとしても充分面白いし怖い。
貞子の誕生の秘話として謎が解明されていく「ミステリー要素」、
同じ劇団に所属する先輩スタッフとの「ラブストーリー要素」、
そして残酷な運命に呑まれる「悲劇要素」 これらが絡み合って、
どんな視点からでも楽しめる重厚な作品に仕上がっている。
