安楽死と尊厳死:色々なコメントがある中でいまひとつ納得出来なかったこと
嘱託殺人の疑いで二人の医師が逮捕
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の林優里さんに薬物投与し、急性薬物中毒で死亡させたとして大久保愉一容疑者(42)と山本直樹容疑者(43)の二人の医師が逮捕されました。
※筋萎縮性側索硬化症(ALS)…手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気。
舩後靖彦参院議員がコメントを公表
ご自身も同じ病気である舩後靖彦参院議員もコメントを公表しています。
(以下、コメント)
事件の報道を見聞きし、驚いています。
ただ、現時点では正確な事実関係がわかりませんので、
事件の内容についてのコメントは控えたいと思います。
報道を受け、インターネット上などで、「自分だったら同じように考える」
「安楽死を法的に認めてほしい」「苦しみながら生かされるのは本当につらいと
思う」というような反応が出ていますが、人工呼吸器をつけ、
ALSという進行性難病とともに生きている当事者の立場から、
強い懸念を抱いております。
なぜなら、こうした考え方が、難病患者や重度障害者に「生きたい」と
言いにくくさせ、当事者を生きづらくさせる社会的圧力が形成していくことを
危惧するからです。
私も、ALSを宣告された当初は、できないことが段々と増えていき、
全介助で生きるということがどうしても受け入れられず、
「死にたい、死にたい」と2年もの間、思っていました。
しかし、患者同士が支えあうピアサポートなどを通じ、
自分の経験が他の患者さんたちの役に立つことを知りました。
死に直面して自分の使命を知り、人工呼吸器をつけて生きることを決心したのです。
その時、呼吸器装着を選ばなければ、今の私はなかったのです。
「死ぬ権利」よりも、「生きる権利」を守る社会にしていくことが、
何よりも大切です。
どんなに障害が重くても、重篤な病でも、自らの人生を生きたいと思える社会を
つくることが、ALSの国会議員としての私の使命と確信しています。
尊厳死と安楽死
舩後靖彦参院議員のコメントにもあるようにネット上では、
今回の病気と同様の立場になれば、尊厳死を選ぶかもしれないと言った
今回の医師の行為を必ずしも否定する訳ではないコメントも多いように感じます。
高須院長も本件にコメント
高須院長の定義とは異なるかもしれませんが、
一般的な意味としては、
安楽死とは、
『回復の見込みがなく、苦痛の激しい末期の傷病者に対して、
本人の意思に基づき、薬物を投与するなどして人為的に死を迎えさせること』
尊厳死とは、
『回復の見込みがない傷病者に対して、本人のリヴィング・ウィル(生前の意思)に
基づき、人工呼吸器や点滴などの生命維持装置を外し、
人工的な延命措置を中止して、寿命が尽きたときに自然な死を迎えさせること』
を指すようです。
そもそも議論の対象ですらないという意見も
『主治医でも従来関係があったわけでもない方があやめたということだ。』として
『絶対に許されないという共通認識を持』つべきだとしています。
いまひとつ納得出来なかったこと
まだまだ全容解明されていない現時点ですが、
非常に難しいテーマを含んだ話題で今後も議論を呼びそうです。
そんな中で、関係する方々のコメントを見る中で、
いまひとつ納得の出来ないというか、理解できないというか、
モヤモヤするものがありました。
それが、逮捕された大久保愉一容疑者の妻で元衆議院議員の大久保三代氏の
ブログの内容でした。
今回の件を触れた文章の冒頭、『夫はアスペルガー症候群です』から
始まります。
そして注釈で『すべてのアスペルガー症候群の方が、逮捕されるようなことを
するわけではありません。』と続きます。
色々とモヤモヤする上に、拙い私の文章でうまくこの気持ちが伝わるかは
自信がないのですが。
まず、注釈ですが、全ての方はそうでないにしても、
夫はその病気が原因で今回の件を行ったとお考えなのでしょうか?
病気と「生と死」が絡む問題の中で、
いきなり、「夫はアスペルガー症候群です」から始まる文章の意図は
私にはうまく読み取ることは出来ませんでした。
前後のブログを読むとこれまでに色々とご苦労されてきた事も書かれており、
関係ない他人の私には分からない色々な経緯はあっての事だとは思いますが。